ポルトガル移住完全ガイド2026
D7・D8ビザ・ゴールデンビザの最新事情を徹底解説
「不動産投資でゴールデンビザ」はもう過去の話。2026年の制度改正を踏まえた、現実的なビザ選びと生活費を解説します。
ポルトガルはEU圏内でありながら生活費が比較的抑えやすく、温暖な気候と歴史的な街並みから、欧州移住先として日本人にも人気が高まっています。一方で「50万ユーロの不動産投資でゴールデンビザが取れる」という情報はすでに古く、2023年10月に不動産投資ルートは完全に終了しました。さらに2026年4月には市民権取得に必要な居住期間も延長されるなど、制度は大きく変化しています。
この記事では2026年最新の情報をもとに、ポルトガルのビザ制度・生活費・移住前の準備までを整理します。
ポルトガルのビザ制度2026年最新版
① D7ビザ(不労所得ビザ)
年間€10,080〜西欧最安水準年金・配当・家賃収入などの不労所得、またはポルトガル国外の雇用主からの収入が対象。年間約10,080ユーロ(最低賃金前後)という、西ヨーロッパの中でも低めの所得基準が特徴です。フリーランスや早期リタイア層に人気があります。
② D8ビザ(デジタルノマドビザ)
年間€38,640〜2022年新設海外雇用主のもとでリモートワークをする人向け。月額の最低収入要件はポルトガル最低賃金の約4倍(月約3,480ユーロ)と、D7より高めに設定されています。
③ ゴールデンビザ(投資家ビザ)
€500,000〜不動産ルート終了2023年10月に不動産投資による取得ルートは完全終了。2026年現在は、CMVM規制下の適格投資ファンドへの50万ユーロ以上の出資が中心的なルートです(ファンド資金の60%以上をポルトガル国内に投資する必要あり)。
④ テックビザ・就労ビザ
雇用主スポンサー収入要件の定めなし認定されたポルトガルのテック企業に雇用される場合のテックビザや、通常の雇用主スポンサー型の就労ビザも選択肢です。
ビザ比較早見表
| ビザ | 収入・投資要件 | 主な対象 | 市民権までの居住期間 |
|---|---|---|---|
| D7ビザ | 年間€10,080〜(不労所得) | 年金生活者・フリーランス | 10年(2026年法改正後) |
| D8ビザ | 月額€3,480前後(能動所得) | リモートワーカー | 10年 |
| ゴールデンビザ | €500,000〜(投資ファンド) | 投資家 | 10年 |
リスボンの生活費相場
2026年時点で、リスボン市内のワンルーム家賃は月1,200〜1,800ユーロが相場です。人気エリア(リスボン・ポルト・カスカイスなど)では家賃が急騰しており、観光ビザでの短期滞在中に長期賃貸を決めるのは年々難しくなっています。物件探しは早めに動き出すことが重要です。
移住前に準備しておきたいこと
- ① ビザ区分に応じた収入・資金証明:D7は不労所得、D8は能動所得と、証明すべき収入の種類が異なります。過去3ヶ月分の収入証明などが必要です。
- ② 犯罪歴証明書の準備:発行から3ヶ月以内、アポスティーユ(付記認証)付きのものが必要です。取得に時間がかかるため早めの準備が必須です。
- ③ ポルトガルで有効な健康保険への加入:ビザ申請時に必須の書類の一つです。
- ④ 資金計画と送金手段の確保:家賃や生活費の日本からの送金には、手数料が明瞭なオンライン送金サービスの活用がおすすめです。
- ⑤ 住居探しの早期着手:人気エリアは家賃高騰と物件不足が進んでいるため、短期滞在での下見と並行して早めに動き出すのが安心です。
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A. 不動産投資によるゴールデンビザ取得は2023年10月に完全に終了しています。2026年現在は投資ファンドへの出資(50万ユーロ以上)や、文化・芸術関連への寄付ルートが中心です。
A. 年金・配当・家賃収入などの不労所得が主な収入源であればD7、海外企業からのリモートワーク給与などの能動所得が中心であればD8が対象です。D7の方が所得基準は低めです。
A. 2026年4月の法改正により、日本人を含む一般の外国人は最初の居住許可証発行から10年の居住が必要になりました。以前の5年ルールは適用されなくなっている点に注意してください。
ポルトガル国内の地域比較:リスボン以外の選択肢
移住先というとリスボン一択で考えがちですが、家賃高騰が進む中、他エリアも比較検討する価値があります。
ポルト(第二の都市)
リスボンより家賃が2〜3割ほど抑えやすく、歴史的な街並みとポルトワインの産地としても知られます。IT系のスタートアップも増えており、D8ビザ保持者のコミュニティも育ちつつあります。
カスカイス(リゾートエリア)
リスボンから電車で40分ほどの海沿いの町。国際的な学校が複数あり、駐在員やファミリー層に人気ですが、家賃はリスボン中心部と同等かそれ以上になることもあります。
アルガルヴェ地方(南部沿岸)
温暖な気候とゴルフリゾートで知られ、リタイア層の移住先として根強い人気があります。都市機能はリスボンに劣るものの、生活費はリスボンより抑えやすい傾向です。
税制優遇制度NHR(非habitual居住者制度)の現状
ポルトガルにはかつて「NHR(Non-Habitual Resident)」という、一定期間の税制優遇(外国源泉所得の免税など)を受けられる制度がありました。この制度は2024年以降大幅に縮小・変更されており、新規の適用条件は限定的になっています。「ポルトガルは税金が優遇される」という古い情報を鵜呑みにせず、移住前に必ず現時点の適用可否を専門家に確認することをおすすめします。
医療制度と保険の考え方
ポルトガルは公的医療制度(SNS)が整備されていますが、居住許可証取得前や、待ち時間を避けたい場合は民間の医療保険を検討する人が多いです。ビザ申請時にも「ポルトガルで有効な健康保険」の証明が必要になるため、渡航前に対応する保険会社を確認しておきましょう。移住直後の期間をカバーする海外旅行保険と、長期居住後に加入する現地の医療保険を使い分けるのが一般的な流れです。
言語の壁とポルトガル語学習
リスボンやポルトなど都市部では英語が広く通じますが、役所手続きや地方での生活では、ポルトガル語(またはブラジルポルトガル語との違い)が必要になる場面が増えます。市民権取得の要件にもポルトガル語能力(A2レベル程度)の証明が含まれるため、長期居住を考えるなら早めの言語学習開始がおすすめです。オンライン英会話サービスの中にはポルトガル語に対応しているところもあるため、移住準備と並行して学習を進めると良いでしょう。
ビザ申請の実務スケジュール
ポルトガルのビザ申請は、居住国のポルトガル領事館またはVFS Globalセンターで提出します。処理期間はビザの種類によって幅があり、D8ビザ・テックビザは比較的短く約6週間程度、ゴールデンビザは審査項目が多いため約12週間程度を見込んでおく必要があります。
| 手順 | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| ①書類準備 | 犯罪歴証明書(アポスティーユ付き)、収入・投資証明、健康保険証明、住居証明 | 1〜2ヶ月 |
| ②領事館・VFSでの申請 | 書類提出、面談 | 予約待ちを含め数週間 |
| ③審査 | ビザ種類により異なる | 6〜12週間 |
| ④渡航・現地手続き | SEF/AIMA(移民局)での居住カード登録 | 予約に数ヶ月かかることも |
ポルトガルでの仕事の見つけ方
D8ビザ(デジタルノマドビザ)を活用する場合、収入源は日本や他国のクライアント・雇用主であることが前提です。現地就労を目指す場合は、EU域内の労働市場という特性上、ポルトガル語または英語でのビジネスコミュニケーション能力が求められる求人が中心になります。IT・観光・語学教育などの分野では、外国人採用に積極的な企業もあるため、現地の求人サイトや日本人向け移住コミュニティの情報収集が役立ちます。
治安と生活の安全性
ポルトガルは西ヨーロッパの中でも治安の良い国として知られていますが、リスボンなどの観光地ではスリ・置き引きなどの軽犯罪に注意が必要です。夜間の人通りの少ないエリアを避ける、貴重品の管理を徹底するといった基本的な防犯意識を持てば、比較的安心して生活できる国と言えます。
気候と暮らしやすさ
ポルトガルは地中海性気候に近く、夏は乾燥して暑く、冬は温暖で過ごしやすい気候です。特に南部のアルガルヴェ地方は年間を通じて温暖で、日照時間の長さから「ヨーロッパのリタイア移住先」として人気があります。一方、リスボンやポルトの冬は湿気を伴う寒さがあり、日本の住宅と違い暖房設備が簡素な物件も多いため、防寒対策は事前に確認しておくと安心です。
ビザ更新と永住権への道筋
D7・D8ビザは通常2年間有効で、その後3年間の更新が可能です。更新時にも収入要件を満たし続けている必要があり、更新のたびに書類を再提出します。5年間(合計)の合法的な居住を経ると、永住権の申請資格が得られます。ただし前述の通り、2026年4月の法改正により市民権(帰化)そのものの取得には10年の居住が必要になった点には注意してください。永住権と市民権は別の手続きである点も理解しておきましょう。
よくある質問(追加)
A. 従来型のNHR制度は2024年以降大幅に縮小されており、新規適用できる条件はかなり限定的になっています。「税制優遇があるから」という理由だけでポルトガルを選ぶ場合は、現時点の正確な適用条件を専門家に確認することを強くおすすめします。
A. リスボン・ポルトなどの都市部では英語が広く通じるため、当面の生活は可能です。ただし役所手続きや地方での生活、市民権取得の要件を考えると、中長期的にはポルトガル語の学習が必要になります。
A. 配偶者・子どもは家族再統合(family reunification)の枠組みでビザを取得できる場合が多いです。主たる申請者のビザが承認された後に、家族分の申請を行う流れが一般的です。教育制度やインターナショナルスクールの有無も、居住エリア選びの重要な要素になります。
まとめ
ポルトガル移住は「ゴールデンビザで不動産を買えば簡単」というイメージが先行しがちですが、2023年の制度改正で不動産投資ルートは終了し、2026年には市民権取得までの期間も延長されました。現実的な選択肢としては、不労所得があるならD7ビザ、リモートワーク収入が中心ならD8ビザが中心になります。人気エリアの家賃高騰も踏まえ、早めの情報収集と住居探しが移住成功の鍵です。
次回はフィリピン移住編を予定しています。


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